dYdXの先物にはファンディングと呼ばれる手数料のようなものがあります。トレードする前に必ず理解しておきたい要素なのでこの記事ではじっくり解説をしています。
ファンディングはトレード画面にあるこちらのことを指しています。
- ファンディング(ファンディングレート)とはなにか
- なぜこの仕組みがあるのか?
- ファンディングから相場の何がわかるのか?
- ファンディングレートをトレードの指標にするには
以下の目次から読み進めてみてください。
Contents
ファンディング(ファンディングレート)となにか?
ファンディングとは1時間に1回行われる手数料の処理のことです。手数料を計算するために使う利率をファンディングレートといいます。
dYdXでロング/ショートのポジションを保有している人は毎時間ファンディングレートを使った計算をして手数料を支払ったり受け取る仕組みになっています。
ファンディングレートからから手数料を計算する
ではファンディング手数料はどのように計算するのでしょうか?実際に例を出して解説していきます。
以下のページは実際に起きたファンディングの履歴です(履歴はこちらから見られます)
- ファンディングレート:0.000709%
- ポジション:0.1ETHのロング
- ファンディング時点でのETH価格:1,663.84ドル
計算すると👇
ポジション金額(0.1ETH×1,663.84ドル=166.384ドル)×ファディングレート(0.000709%)=ファンディング金額(0.001179ドル)
このようにポジション金額にファンディングレートをかけて金額を算出します。
※実際の取引価格を使ってポジション金額を計算するので画面上のオラクル価格とは差異がでます
そしてこのファンディング手数料は取引所ではなくショートポジションを持っている人に支払うというのがポイントです。
ファンディングはトレーダー同士の資金移動
上記の例ではロングポジションを保有していてかつ、ファンディングレートがプラスだった場合をあげました。
資金調達率がプラスの場合はロングポジションがショートポジションへファンディングを支払うことになります。
いわゆるトレーダー同士の資金移動です。ファンディング手数料の関係についてまとめました。FRはファンディングレート(Funding Rate)のことです。
- FRがプラス→ファンディングを払う
- FRがマイナスの→ファンディングをもらう
📉ショートポジション保有者
- FRがプラス→ファンディングをもらう
- FRがマイナス→手数料をファンディングを払う
ファンディングのコストは軽視できない
上記の計算例ではファンディングの金額が少なかったので大したことがないように思いますが、ファンディングレートは時として大幅に変動します。
またポジションを保有し続ける限りファンディングは毎時間発生します。場合によっては利益がファンディングに相殺されてしまう場合があります。
dYdXでは右下にある実現損益というところがこれまでのファンディングの累積が表示されるようになっています。
- プラスになっている→ファンディングで利益が出ている(受け取っている)
- マイナスになっている→ファンディングで損失が出ている(支払っている)
そして「ファンディングレートをみてファンディングを稼げるのでは?」という疑問が出てきますよね。
実はそう思わせることにこのファンディングレートの存在理由があります。
なぜファンディングの仕組みがあるのか?
一言でまとめてしまうと「実際の仮想通貨の価格に近づけるため」です。dYdXの先物ではビットコインやイーサリアム、アルトコインのそのものを取引しているわけではありません。
先物取引とは将来それがどんな価格になるか?という予想を取引するものです。なので実際の価格と連動する仕組みが必要になります。
そこで実際の価格から離れすぎないように引力のような役割を果たすのがファンディングです。
ファンディング手数料が起こす変化
例を出して考えてみます。
- 10ETH × 0.01% = 0,001ETH(100円)
- 10ETH × 0.1% = 0.01ETH(1,000円)
このようにファンディングがどんどん上がっていて、もし次回が0.5%だった場合にトレーダーはどのように考えるでしょうか?
このようにロングポジションの決済(ショート)とファンディングを受け取るためのショートが増加し価格の下落圧力がかかります。
反対のケース
例えば下落相場では上記の関係を反対にします。弱気トレンドでショートが増加するとファンディングレートがマイナス側に動きます。例をあげてみます。
- 10ETH × -0.01% = 0,001ETH(50円)
- 10ETH × -0.1% = 0.01ETH(50円)
先物が売られれば売られるほどファンディングレートががマイナスになり、ロングポジション保有者がショート側からファンディングを受け取ります。
このようにファンディングのコストを課すことで市場参加者のロング/ショートの方向性が調整される仕組みになっています。
価格の基準になる「指標(インデックス)価格」
では何を基準にファンディングレートが動くのかというと「実際の仮想通貨の価格」からどれだけ乖離(かいり)しているかで決まります。
画面上にあるこの指標価格が実際のビットコインやイーサリアムの価格として表示されています。これを基準とした先物取引をしているので、この価格からどれだけ乖離(かいり)、離れているかが常に計算されています。
- 指標価格 < dYdXの先物価格 → ファンディングレート上昇
→ロンガーが多くコストを払う - 指標価格 > dYdXの先物価格 → ファンディングレート下降
→ショートが多くコストを払う
ファンディングレートから何がわかるのか?
ファンディングレートはは市場のその通貨に対しての需要と供給を測る指標として使われます。
またファンディングレートを指標として監視しているプレーヤーは多く、注目度という観点からも重要です。
上がる → 買われている
下がる → 売られている
ファンディングレートは指標(インデックス)価格からどれだけ乖離したかで求められます。
つまりファンディングレートが上がり続ける(インデックス価格より高い状態が続く)ということは買い方向の加熱と言えます。
逆に下がり続けている場合は売り方向へ加熱していると言えるわけです。
上記の画像のようにファンディングレートが急激に下降するのは、指標(インデックス)価格から下回って売られたということになります。よってかなり売り需要が強かったと言えます。
また先物取引はショートをすると決済の買い戻し(ロングを)をしなければなりません「売られ過ぎたものは買われる」ではいつ買われるか?
・・・というのを推察しながらトレードの参考に役立てることができます。
ファンディングレートが大きく変動する→トレーダーのポジション解消圧力の増加
またファンディングはトレーダーに課せられた足枷のようなものです。
実際に計算していくとファンディング手数料がトレードに与えるインパクトは大きいことがわかります。
例えば値動きが極端なアルトコインなどは1日に1%ものファンディングを支払うことも珍しくありません。高すぎるファンディングレート水域はトレーダーの損益を侵し、ポジション解消の動機を作ります。
また大切なのは多額のファンディングを支払うということは、投資元本がそれだけ減っていることでありポジションに対するレバレッジが上がってしまうということです。思わぬロスカット(強制精算)を招くこともあります。